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議会報告 川崎市政

市内総生産に占める公的固定資本形成比率2017/02/16    

前横浜市会議員で経済評論家と称する人が、地域情報紙『タウンニュース』にて横浜市の来年度当初予算案について次のように解説されています。

「一般会計の総額は前年より増加したが、県の負担していた市立小中学校の教職員の給与などが市に移管され、実質的には前年比マイナス予算である。(中略)実質マイナス予算ではあるものの、おそらく一般会計における予算規模の増加比率は政令市でワーストクラスに高く、将来負担の増加率も群を抜いている」(『タウンニュース 2017年2月9日号』より抜粋)

この経済評論家先生は、その理由として「攻めの姿勢と称した大型公共投資のオンパレードで、リターンを生む施策が少ないと仰せで、なんでも「大型公共投資重視に懸念」しているのだそうです。

氏によると、公共投資はリターンを生む施策ではない…ということになります。

なら、公共投資って何のためにやるの?

この人は、おそらく「公共投資は一部の土建屋さんの景気を潤すだけ…」という、いわゆる公共投資悪玉論洗脳されているのでしょう。

もしそうだとしたら、誤った理論に洗脳されている人が知ったかぶった解説などしてはなりません。

政治・行政で一番大切なことは、抽象的イメージ断片的な数字で物事を判断してはならないことだと思います。

この種の人は、公共投資に対して巷で言われているような抽象的なイメージしかもちあわせていないから、その目的や効果について真剣に考えたことすらないのでしょう、きっと。

公共投資の目的は主として次の2つです。
1)生産性の向上
2)防災安全保障の確立

例えば道路一つをとっても、たんに交通流の円滑化を図るだけの施設ではありません。

火災時には延焼遮断空間にもなり、災害時には避難路や救援路にもなり、平時には上下水道や電気・ガスなどの各種都市施設の埋設という空間機能すら果たします。

何よりも、生産性の向上効果は見逃すことのできない重要なリターンです。

インフラの差は生産性の差となって、結果として経済力の差をもたらします。

例えば、インフラの充実度において他国を圧倒しているドイツでは、国内で人が1時間で移動できる平均的な距離は90㎞です。

一方、日本のそれは51㎞です。

ドイツは日本に比べて距離にすると約2倍ですが、面積にすると約3倍になります。

上の図は、日本のピザ屋さんが30分で1件の配達ができるのに対し、ドイツのピザ屋さんは30分で3件もの配達ができることを示しています。

インフラが充実していると、同じ労働時間でも所得獲得機会が3倍になる、ということです。

仮に所得が3倍だとすると、税収も3倍になります。

これをリターンというのではないでしょうか。

因みに、下のグラフのとおり、川崎市と横浜市の市内GDPに占める公的固定資本形成比率を比較してみます。

公的固定資本形成とは、公共事業費から用地買収費を除いたものです。

市内総生産なので、国や県の事業も含まれています。

オレンジ色の棒グラフが横浜市ですが、2003年には4.8%を占めていましたが、それ以降は低迷を続けています。

国から地方自治体まで緊縮財政を断行してきましたので、その結果です。

このようにみると、横浜市とはいえ、必ずしも公共インフラへの投資が十分とはいえない状況であることが解ります。

よその自治体のことはさておき、川崎市のそれは更に低い比率です。

このグラフはフローでみていますが、こうした毎年のフローの差が年ごとに大きなストック(蓄積)の差になっていきますので、横浜市と川崎市とを比較した場合、そのインフラ充実度に大きな差が生じるわけです。

川崎市にせよ、横浜市にせよ、今後は生産年齢人口(15~64歳)が減少していきます。

であるからこそ、一人当たりの生産性を向上していかなければなりません。

生産性を向上できないままに外国人労働者を受け入れた場合、この国は普通に亡国に至ります。

生産性向上を目的に行政が担うべき投資のことを「公共投資」といいます。

因みに、川崎市の行政当局は、2025年をピークにして生産年齢人口が減少していくものと推測していますが、実は市内人口に占める生産年齢人口比率は1993年をピークにして既に減少しはじめています。

川崎市であれ、横浜市であれ、生産性向上のための投資を今やらないで…いったい、いつやるの?