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議会報告 政治・経済

日銀の量的緩和政策の目的と限界2017/01/29    

現在、日本銀行はデフレ脱却(需要不足解消)を目的として「量的緩和」政策を行っています。

量的緩和政策とは、金融機関が保有している国債(政府の借用証書)を日本銀行が購入することです。

日本銀行が金融機関から国債を購入すると、需要と供給の関係から国債価格が上昇します。

国債価格が上昇すると、国債金利が低下します。

金利は、返済期限1年未満の貸し借りに課される短期金利と、1年以上の長期金利に分けられます。

長期金利は通常、10年満期の国債の利回りを基準(指標)に決められます。

なので長期金利は国債の相場変動によって上下します。

どうして国債金利(新発10年物)が長期金利の指標になるのかというと・・・

国債とは、政府がおカネを借りるときの借用証書です。

注:「国の負債」ではなく「政府の負債」です。

政府は、おカネを貸す相手としては日本で最も信用できる機関です。

「信用できる」 = 「債務不履行になる可能性がほぼゼロ」ということです。

最も信用できる相手におカネを貸すわけですから、国債の利回りが日本で最も低くて当然だと考えられています。

国債金利が長期金利の指標になっているのは、そうした理由からです。

長期金利が高いと民間部門(企業や家計)の消費や投資を誘発することができないために、日本銀行は金融機関のもつ国債を購入することで長期金利を低く誘導しています。

これが量的緩和です。

どうして量的なの?、という疑問をお持ちの方がおられるかもしれません。

日本銀行が金融機関から国債を購入すると、その対価として各金融機関が日本銀行にもっている当座預金におカネが量的に蓄積されていくことから「量的緩和」と言います。

さて、我が国の長期金利はどのような推移になっているでしょうか。

下のグラフをご覧ください。

昨年にはゼロ%を切って、マイナス金利にまで至りました。

平成29年1月27日の午後現在で、0.075%です。

それでも銀行貸出は拡大することなく、民間部門(企業や家計)はおカネを借りようとしていません。

こんなに長期金利が下がっているのに貸出が増えない。

結果、デフレというトンネルから長く抜け出せないでいます。

どうしてか?

デフレは単に金利を下げるだけでは脱却できず、そこに「政府支出の拡大」という併せ技が必要なのです。

ですが、それをやっていない。

どうして政府支出の拡大が必要なのかと言いますと、ただ金利が下がったからといって民間部門(企業や家計)は銀行からおカネを借りようとはしないからです。

例えば、企業が銀行からおカネを借りて新たな設備投資を行って生産量(供給量)を拡大しても、需要が不足(それこそがデフレ)しているために借りたおカネを返済できる見通しが立たないからです。

であるからこそ、政府(行政)が支出(公共投資・政府消費)を拡大して需要不足を埋める必要があります。

需要不足が解消されると供給過剰が解消されます。

なのでおカネを借りて設備投資しようという企業が増えていきます。

量的緩和による金利低下はその時のためのものです。

政府支出のための財源は?

むろん、国債です。

国債ですが、心配なさらないでください。

デフレを解消すると名目GDPが拡大します。

名目GDPが拡大すると税収が増えていきます。

税収が増えていくことで、政府負債の対GDP比率低下していきます。

これを国際社会では「財政再建」と呼んでいます。

ところが日本国内には「国債発行は悪である」という間違った価値観が蔓延しているために、かえって財政再建が遅れています。

政府が頑固に国債を発行しないものだから、市場の国債が既に枯渇しはじめています。

ある時期から、金融機関の保有する国債よりも、日本銀行の保有する国債のほうが上回っています。

このことは、やがて日本銀行による量的緩和の継続が不可能になることを意味します。

量的緩和の継続が不可能となった場合、即ち量的緩和の縮小(テーパリング)が確定した場合には、急激な金利高、円高、株安、そして更なる消費や投資の冷え込みによって超デフレーション状態に陥ることになります。

そのデッドラインの日が近づいています。

識者によっては、あと一年以内にその日が来るとも言われています。

昨日の日本経済新聞にも、量的緩和の「縮小(テーパリング)」憶測の打ち消しのために日本銀行が国債の買い入れを一転して増額した、という記事がでています。

『日銀、国債買い入れ一転増額 「縮小」臆測打ち消しか
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H48_X20C17A1EE8000/

日銀は27日、償還までの残り期間の長い国債の買い入れ額を増やした。「トランプ相場」による米長期金利上昇に連動して日本でも長期金利が急上昇(債券価格は急落)していたため、マネーの供給を増やして金利を抑えた。市場の一部で「日銀が買い入れ規模を縮小(テーパリング)する」との思惑が強まっていた。金融調節を通じて市場の臆測を打ち消す意図があったとの指摘もある。(後略)』

この記事は、量的緩和の縮小に対する市場の不安感が既に高まりつつあることの証左かと思われます。

結論・・・

政府の国債発行 → 政府支出の拡大 → 需要創出 → デフレ脱却 → 名目GDPの拡大 → 税収増 → 政府負債の対GDP比率の低下 → 民間主導の経済成長

もともと、この道しかなかったはずです。