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議会報告 政治・経済

政治・経済に疎い経団連2017/01/24    

ネオリベラリズム = 新自由主義。

ジョージ・ソロスは、これをマーケットファンダメンタリズム(市場原理主義)と言いました。

新自由主義も市場原理主義も、要するに次のような考え方です・・・

政府(行政)は常に小さいほうがいい。

だから民営化、自由化、規制緩和は常に正しい。

小さな政府の財政は、常に収支均衡(緊縮財政)でなければならない。

デフレだからと言って、財政出動するなどけしからん。

様々な条件が成立しないかぎり自由貿易なんて成立しないけど、それによって貧しい国民がでようと、その国の安全保障が崩れようと一向にかまわない。

とにかくグローバルに展開する企業と投資家さえ儲かればそれでいい。

だから常に自由貿易を進めるべきだ。

世界中の国境を無くして、自由貿易を進めればこの世から紛争も貧困も無くなって世界平和が実現できる。

それがグローバリズムだ。

・・・といったところです。

こうした考え方の学問的支柱になったのが、ミルトン・フリードマンを祖とする「新古典派経済学」でした。

一方、ジョセフ・スティグリッツのような、まともな経済学者は、こんなネオリベラリズム経済(グローバリズム経済)を続けていたら、やがて世界中のあちらこちらでトランプのような指導者が現れるぞ、と警鐘を鳴らしていました。

さすがスティグリッツ。

その予言は的中しました。

グローバリズムに対する世界的な揺り戻しが来たのです。

トランプ新米国大統領は、その就任演説で・・・

Protection will lead to great prosperity and strength
「保護貿易(保護主義)は偉大なる繁栄と強さをもたらす」

・・・と言っています。

だからこそトランプ氏は、「グローバル企業やグローバル投資家の利益にしかならないTPPは絶対にやらないけど、アメリカ国民の利益になる二国間協定(貿易協定)はやる」と言っているのです。

TPPを批准してしまった日本は、次なる米国との貿易交渉で確実に不利になります。

TPP基準が新たな貿易交渉の最低ラインになってしまうからです。

トランプ政権から、「既に日本はTPPを批准しているんだから、少なくともそのラインが最低条件ですよ、よって日本はそこからどれだけ譲歩できるの?」と、言われるのは必定です。

そういうことが理解できていないから、安倍総理も経団連も未だ「TPPがぁ~」と叫んでいるのです。

『安倍首相、TPP腰据え議論
http://jp.reuters.com/article/idJP2017012301001788

安倍晋三首相は23日、衆院本会議の代表質問で、米国のトランプ大統領が離脱を表明した環太平洋連携協定(TPP)について「腰を据えて理解を求めていきたい」と述べ、発効に向け米側へ働き掛けを続ける意向を示した。(後略)』

一方、経団連は、

『経団連会長、TPP「実現に全力を尽くしたい」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL23HF0_T20C17A1000000/

経団連の榊原定征会長は23日午後の記者会見で、20日に発足した米国のトランプ新政権について、産業促進的な政策により強化された米経済が世界経済全体をけん引するとの考えを示した上で、「全体の流れの中で日本経済も成長するという姿を期待したい」と述べた。一方で、環太平洋経済連携協定(TPP)の離脱表明や北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなど保護主義的な動きについては強い懸念を示した。(後略)』

どう考えたってTPPを否定して当選した大統領が、TPPを批准するわけないだろうに。

「政治・経済」「経営」は明らかに違う分野です。

なので経団連が「政治・経済」を理解できないのは致し方ないことなのかもしれません。

今後、米国では、トランプ大統領を中心に反グローバリズム(国民経済主義)に徹した政策を求める勢力と、あくまでもグローバリズム的政策を求める勢力との間での鬩ぎあいがつづくことでしょう。

よって、しばらくは混沌とした政治情勢になろうかと思われます。

なぜなら、トランプ大統領が言うほどに国内の製造業を復活させるのはそう容易ではなく、おそらくは長い時間を要します。

それに、これまでウォール街を中心にグローバリズムによって利を得てきた勢力は未だ健在であり巨大だからです。

おそらくテリーザ・メイ首相をリーダーとする英国の方が、米国よりも、うまく、早く、柔軟に「脱グローバリズム化」を成し遂げることになるのではないでしょうか。

そんな予感が致します。

少なくとも、今後の世界がグローバリズムの強化に向かうことだけはなさそうです。