〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

デフレを脱却するまでPB目標は一旦破棄せよ2017/01/20    

本日は1月20日金曜日。

二十四節気の最後、「大寒」の節を迎えました。

大寒の終わりを「寒明け」といいますが、二十四節気最初の節である「立春」にむけて寒気がますます加わる時節です。

皆さま、くれぐれもお体にはご留意ください。

さて、米国では、いよいよトランプ政権がスタートします。

昨今、内外の報道をみておりますと、あまりにもトランプ氏の個人的品格の問題に終始しすぎていて、政治としての本質的問題がお座なりにされているように見受けられます。

あれだけ品性を問われてきたトランプ氏が、どうして大統領選挙に勝利することになったのか、そこに問題の本質があるはずなのに・・・

その本質を一言で言え「グローバリズムの行き詰まり」だと思いますが、これまでグローバリズムによって破壊されてきたものを、トランプ氏が米国においてどのように再構築していくのかが、まさに注目されるべき点であろうかと思います。

といって、「グローバリズム vs 保護主義」という単純な構図ではありません

現在、世界中のメディアの多くがグローバリズム派なので、トランプ氏の大統領就任やブレグジットに対して極めて否定的な報道が為されています。

日本のメディアの報道姿勢をみても、明らかにそうです。

しかしながら、よく考えてみましょう。

現在、私たち日本国民は長引くデフレに苦しまされています。

なんとデフレに突入してから20年目を迎えています。

そのデフレを益々もって深刻化させているのがグローバリズム的政策なのです。

グローバリズム的な政策とは、具体的にはネオリベらが主導する「構造改革」です。

例えば、これまで歴代政権が行ってきた、いわゆる「緊縮財政」(プライマリー・バランス目標)も「構造改革」の一環です。

昨日も、地元商店会の新年会で申し上げてきましたが、デフレとは「おカネが無い」状態ではなく、「おカネが動いていない」状態なのです。

おカネが動いていない、というのは「需要(モノやサービスの購入)が不足している」ということを指します。

国民経済においては、おカネを使う主体は次の4つになります。
① 一般政府(中央政府+地方政府)
② 企業(金融法人企業+非金融法人企業)
③ 家計
④ 海外

需要(モノやサービスの購入)が増えないデフレ期には、企業家計も懐の紐をきつく締めます。

つまり、おカネを使えない(動かせない)。

この状況において、輸出も伸びず、加えて一般政府までもが懐の紐をきつく締めてしまうとどうなるでしょうか。

さらにデフレ化します。

即ち日本国民の貧困化です。

そうなると、儲かるのはグローバル企業グローバル投資家だけです。

これが、トマ・ピケティのいう「 r > g 」の状態です。

つまり、資本収益率(r)働いて稼ぐ所得(g)を上回り続けることになって、スティグリッツのいう「 1% vs 99% 」の世界になります。

我が国も、そこに突き進んでいます。

なのに日本のメディアは「グローバリズムが壊れていくぅ~」と騒いでいるのです。

上のグラフは、非金融法人(金融機関を除く一般企業)と一般政府(中央政府+地方政府)の資金過不足を時系列で示したものです。

資金過剰とは、資産が増える、もしくは負債が減ることを意味します。

資金不足とは、負債が増える、もしくは資産が減ることを意味します。

1998年にデフレに突入して以降、企業が資金過剰、一般政府が資金不足という状況が続いています。

国民経済の理想的な姿は、一般政府が資金過不足ゼロで企業が資金不足という状態です。

そして資金過剰になるべき経済主体は家計です。(注:上のグラフでは家計は除かれています)

このグラフをみて解ることは、デフレ経済の中においても、政府が資金不足状態(資産減もしくは負債増)になることで、なんとか我が国の経済を支えてきたことです。

ところが、「プライマリー・バランス目標がぁ~」とかいって、資金不足を減らそうとすると、すべての経済主体が懐の紐を引き締める状態になりますので、余計にデフレ化します。

というか、プライマリー・バランス目標などに拘って、デフレ化を助長しているからこそ財政再建(政府負債の対GDP比の縮小)ができないのです。

この「2020年度までにプライマリーバランスの黒字化を達成する」(平成22年6月21日、菅直人・当時総理の記者会見)という馬鹿げた目標をたてたのは、あの悪評高き菅内閣です。

必要なのは、ストック面政府負債の対GDP比の縮小であって、フロー面収支均衡ではありません。

『18年度のPB中間目標は達成困難、見直し含め検討へ=政府筋
http://jp.reuters.com/article/pb-japan-idJPKBN152117

政府部内で財政健全化目標を見直す動きが浮上している。2018年度に基礎的財政収支(PB)を名目国内総生産(GDP)対比1%の赤字に抑える目標(目安)が、実現困難となったためだ。目標の見直しも含め、1月下旬に公表予定の財政の「中長期試算」における表現を検討中。20年度PB黒字化目標についても、今年4月以降に経済財政諮問会議で財政の全体像の見直しを議論する可能性が出てきた。(後略)』

ロイターの記事によると、プライマリー・バランスの中間目標が達成できそうにもないことから、政府は見直しを含めて検討する方向のようです。

この際、デフレを脱却するまで、プライマリー・バランス目標は一旦破棄するべきです。

日本のメディアは、米国の大統領の心配なんぞする前に、我が国の実状を直視して本質的な報道をしてほしいものです。