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議会報告 政治・経済

金融主権(通貨主権)の喪失がもたらすもの2017/01/07    

ヨーロッパ25カ国で使用されている共通通貨「ユーロ」。

因みに、そのうち19カ国が欧州連合、いわゆるEUに加盟しています。

ユーロは2002年1月1日に発足しました。

これによって、加盟各国は自国通貨の発行権を実質的に捨てたことになります。

即ち、加盟各国は国債を発行する際、自国通貨建てによる起債ではなく共通通貨ユーロ建てで起債することになったわけです。

このことは金融主権の喪失といっていい。

日本国のように「円」という自国通貨建てで国債を発行できる国は、元利金の支払いの際に苦しむことがありません。

円という通貨の発行権は日本政府(日本銀行)にあるからです。

注:中央銀行たる日本銀行は日本政府の子会社!

なので、無知なる政治家、役人、学者、マスコミ、評論家たちがどんなに「ニホンはシャッキンでハタンするぅ~」と言ったところで、日本政府がデフォルト(債務不履行)する可能性はゼロです。

デフォルトしない、ということは破綻しない、ということです。

ところが、ギリシャのように自国通貨(ドラクマ)での国債発行ができず、ユーロ建てで国債を発行するとなると、元利金の返済期に手持ちユーロがなければデフォルトします。

現に何度もしています。

これがユーロ建てでなく、ドラクマというギリシャの独自通貨での国債発行であったのなら、ギリシャがデフォルト(破綻)することなどありえませんでした。

これが、共通通貨です。

また、その国ごとにモノやサービスを生産するという産業力には差があります。

当然ですよね。

ドイツとギリシャでは生産力が異なります。

例えば自動車。

ギリシャにもナムコという自動車メーカーがありますが、ドイツの自動車メーカーと互角に戦えるほどの競争力はありません。

ナムコ製自動車はドイツではもちろん、本国ギリシャでもあまり売れていません。

ギリシャを走る自動車のほとんどはドイツ製自動車です。

というか、自動車のみならず、ギリシャがドイツに輸出できるようなものはほとんどありません。

よって、ギリシャはドイツに対して、ひたすらに貿易赤字を垂れ流し続けました。

ドイツは、ギリシャだけでなく、スペインなど他のラテン・ヨーロッパの国々に対しても、ひたすら貿易黒字を重ねていきました。

結果、ユーロ導入以来、ドイツの経常収支の黒字が膨らんでいきました。

下のグラフのとおり、ユーロ加盟国の経常収支の推移をみますと、ほぼドイツの一人勝ち状態になりました。

注:経常収支とは、貿易収支・サービス収支・所得収支・経常移転収支の合計!

グラフの黒い部分がドイツです。

ギリシャ(赤)、スペイン(青)、スロバキア(黄)などが経常収支を赤字化させた中で、ほぼドイツの一人勝ち状態です。

独自通貨を捨ててしまったギリシャやスペインは、貿易収支(経常収支)の赤字を為替レートの変動によって調整する機能を喪失しました。

もし自国通貨を捨てていなければ、どんなに貿易収支(経常収支)が赤字になっても、対する黒字国通貨に対して為替が安くなることで、貿易収支(経常収支)は調整されます。

即ち、国内の産業は保護されるわけです。

しかし金融主権(通貨主権)を失った共通通貨国には、そうした調整機能が働かず、生産力のある外国から容赦なくモノやサービスがなだれ込み、自国産業は壊滅し、雇用の喪失となるわけです。

詰まるところ、産業競争力のないギリシャやスペインが、自国通貨を捨てて共通通貨ユーロに参加した時点でアウトだったのです。

2011年以降、ギリシャやスペインは貿易赤字を計上できないほどにGDPが縮小してしまいました。

金融主権(通貨主権)を失うということはそういうことなのです。

ドイツを封じ込めようと仕組んだEUでありユーロでしたが、皮肉にもドイツの一人勝ちで終わりそうです。

その一人勝ちのドイツですら、今や大量の移民を受け入れたことによって国内が混乱しはじめています。

ご承知の通り、昨年のブレグジットで英国は既にユーロ離脱を決めています。

ユーロ・グローバリズムの崩壊は既にはじまっています。