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議会報告 政治・経済

フォード、メキシコ工場新設計画を撤回2017/01/04    

米国自動車メーカーのフォード・モーターが、メキシコへの工場移転計画を撤回しました。

『米フォード、メキシコ工場新設計画を白紙に-トランプ氏に批判され
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-03/OJ7SM46JIJV501

米自動車メーカー2位のフォード・モーターはメキシコに16億ドル(約1880億円)で工場を新設する計画を白紙に戻す。同社は小型車生産拠点のメキシコ移転をめぐってトランプ次期米大統領から批判を受けていた。(後略)』

米国では、早くもトランプ効果ですね。

1994年のNAFTA(北米自由貿易協定)以降、米国、カナダ、メキシコ間では、モノ・カネ・ヒトが国境を越えて自由に移動できるようになりました。

その背景には、むろん「自由貿易は常に善」というグローバリズム思想があります。

その結果、どうなったか。

まず、競争力の高い米国産の安い小麦が国境を越えてメキシコになだれ込みました。

当然、悲鳴を上げたのはメキシコの小麦農家です。

米国の小麦農家に市場を席巻され職を失ってしまったメキシコの小麦農家が、今度は新たな職を求めて米国に移動します。

なにせグローバリズムは国境を越えるのが自由なのです。

メキシコから低賃金労働者が米国になだれ込むと、今度は米国で働く米国人労働者(主として白人労働者層)の雇用が奪われていきます。

加えて、ミシガンやペンシルベニアなどの、いわゆるベルト地帯(自動車工場や重工業が盛んな地帯)にあった工場の多くがローコストのメキシコに移転しました。

おかげでこの地域は今や、「ラストベルト」(錆びついた地帯)などと揶揄されています。

ここでもまた米国人労働者の雇用が喪失。

そしてメキシコで生産された安い自動車が米国に逆輸入されてくることから、益々もって米国人労働者の雇用環境は悪化していきました。

その彼らの悲痛な叫びや不満や怒りを、的確に汲み上げたのがトランプ次期大統領でした。

グローバル企業やその投資家だけが利益を享受する一方で、米国に住み、米国で働き、そして資本収益でなく所得で生活する圧倒的多数の米国人たちが貧困化していくという矛盾に満ちた政治に対し「No!」を突きつけたのがトランプ氏なのです。

要するに、あまりにも行き過ぎたグローバリズムに対する、健全なる揺り戻しが起きているのです。

ここにきてグローバリズム派は、トランプ氏をはじめ、ブレグジットを支持している人々、あるいはグローバリズムに否定的な人々、即ち国民国家派らに対して、「保護主義!」というレッテルを貼りつけて防戦しています。

あたかも反グローバリズム派が「すべての国は鎖国をしろ」とでも言っているかのように「保護主義」という言葉をつかって極論を展開しているのです。

けっして、グローバリズムか保護主義か、の選択ではありません。

私はあくまでも、国境や国民主権を維持しつつ、お互いの国がそれぞれに関税や規制などの自国民を守るための手立てを尊重しあいながら、貿易等の国際的なお付き合いをしていくべきだ、と言っているだけです。

まずはグローバリズム(新古典派経済学、新自由主義)だけが資本主義だ、という大きな誤解を改めてほしい。

国民主権に基づく国民経済と資本主義は、それぞれに矛盾することなく立派に両立できるのです。