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議会報告 政治・経済

新規国債の発行減額、と言うけれど・・・2016/12/16    

政府は、というより財務省は、来年度予算案において歳入不足を補う新規国債発行額を7年連続で減額する方針のようです。

『新規国債減額へ 17年度、34兆円台前半に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H50_V11C16A2PP8000/

財務省は2017年度予算案で歳入の不足を補う新規国債発行額を34兆円台前半にとどめ、7年連続で減額する方針だ。(後略)』

まず、国債には次の2種類があることをご理解頂きたいと思います

1)歳入不足を埋めるための赤字国債(正式には特例公債といいます)

2)道路や橋梁や公立病院などのインフラ施設を建設するための建設国債

我が国は、19年間に及ぶデフレ経済(名目GDPが成長しない経済)によって、歳入を減らし続けてきました。

税収は名目GDPに比例します。

名目GDPが減ると歳入が減りますので、その歳入不足を赤字国債を発行することで賄ってきました。

なので、デフレが解消され名目GDPを成長させることができれば、赤字国債など発行せずともよかったわけです。

ではなぜ、デフレを解消することができないのか?

それは、公共事業などインフラ投資を怠ってきたからです。

下のグラフをご覧ください。

我が国の国債発行残高を種別でみますと、その多くは赤字国債の発行で、建設国債の発行額はさほどに伸びていません。

因みに、どうして建設国債を発行するのかといいますと、世代間の税負担を公平にするためです。

住宅ローンと同じで、住宅を建てて親子3代にわたって居住利益を得るとき、ローンを組むことで住宅建設の費用負担に世代間の不公平が生じないようにするようなものです。

例えば、国が国立公園を整備するとします。

国立公園は、現世代のみならず将来世代にとっても資産になります。

その整備費用を税金で一括して支出してしまうと、現世代の負担が重くなってしまうわけです。

そうならないように、建設国債を発行してインフラを整備する仕組みになっているのです。

建設国債はおカネに困って発行されるのではなく、おカネに余裕があっても発行される国債なのです。

その点、川崎市のような地方行政も同様で、上下水道や港湾施設などの公的インフラを整備する際には、必ず建設債を発行します。

なので、借金は必ずしも悪ではないのです。

そして、民間需要に期待できないデフレ経済下では、公的需要であるインフラ整備(公共事業)を行うことが最も効率的なデフレ対策になります。

このように言うと「えっ、まだ公共事業をやるの?」と思われる方がいるかもしれません。

先進国のなかでも、日本のインフラが特に貧弱であることは先日のエントリーでもご説明申し上げた次第です。

2013年、2014年と税収が増えたのは、日銀の金融緩和で円安になって、名目の輸出額が増えた結果であって、デフレを解消したからではありません。

建設国債を発行することで、デフレが解消され名目GDPが増えます。

名目GDPが増えることで税収が増えます。

税収が増えることで、政府負債残高の対GDP比率が縮小されます

これを財政再建といいます。

国家が続く限り、あるいは国民が安全に、そして豊かに生活する限り、建設国債こそは毎年一定程度、発行されるべき国債であることを理解しなければなりません。

それに、デフレを解消できないままに国債発行を抑制してしまうと、市場の国債が枯渇して、日銀の量的緩和が事実上の終了を迎えることになります。

下のグラフのとおり、既に民間金融機関が保有している国債は僅かです。

識者の中には、生損保や公的年金等が保有している国債を購入すればいいのでは、と提言する人たちもおられますが、生損保や公的年金等は国債という安全資産によって運用益を確保しています。

日銀が生損保や公的年金等が保有している国債を購入してしまうと、彼らのビジネスモデルが壊れてしまいます。

デフレを脱却できないままに、量的緩和が事実上の終了を迎えてしまうと、まちがいなく円高が進みます。

円高が進むと、まちがいなく株価は下落します。

株価の上昇に心血をそそいでいる安倍内閣にとっては、実に大きな痛手になりますけどぉ・・・