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議会報告 川崎市政

私が『ヘイトスピーチを根絶するための対策を求める意見書 』(案)に反対した理由2016/11/07    

昨年(平成27年)3月、地方自治法第99条にもとづく意見書案『ヘイトスピーチを根絶するための対策を求める意見書 』(案)が川崎市議会で提案されました。
http://www.city.kawasaki.jp/980/cmsfiles/contents/0000066/66077/27-1-8.pdf

地方自治法第99条は、地方議会の意見を国の政策に反映させるために、議員が提案した意見書を本会議にはかって可決すれば政府・国会に提出できることを認めています。

意見書案が地方議会の本会議で議決され可決成立すると、議長名によって政府・国会に送付されることになりますが、その意見書による政府や国会側への拘束力はありません。あくまでも、その地方議会による政府・国会への意見です。

川崎市議会の『ヘイトスピーチを根絶するための対策を求める意見書 』(案)は、昨年(平成27年)3月18日、川崎市議会本会議において賛成多数をもって可決成立し、政府・国会に送付されました。

全会一致ではなく、賛成多数での可決です。

近年、多くの地方議会でこの種の意見書が全会一致で可決成立していますが、たった一人の反対によって全会一致に至らなかったのは政令指定都市では川崎市議会だけのようです。

会派に属していない議員(無所属議員)には、本会議場での反対討論の機会が与えられていませんので、なぜ三宅隆介は反対するのか、という意見を陳述する公式の場がありませんでした。

当時、とある団体から「なぜ反対したのか?」という質問状を頂きました。その際、私がその団体に送付した回答文書を当ブログに掲載し、私の反対討論としたいと思います。

川崎市議会本会議で平成27年3月18日に行われた『ヘイトスピーチを根絶するための対策を求める意見書』(以下、「本意見書」といいます)の採択に際し、反対した理由は以下のとおりです。

1.政治においてはスローガンより実効性ある施策の策定と実施が重要です。そのためにもっとも大きな障害となるもののひとつが、スローガン、標語の先行です。全体主義の特徴であり、全体主義への導管でもある「スローガン先行政治」に私は反対します。

①漠然として抽象的でしかも大きな標語をまず掲げ、そのもとでなされる一切の行為を正当化して、それにたいする批判を封殺する、というのは全体主義勢力の常套手段です。本意見書は、まさしくそのようなものです。

②かつて「人権擁護法案」が国会に出されようとしたことがありました。この法案は「スローガン先行政治」のよい例でした。「人権侵害とは、当事者が人権侵害を受けたといえば人権侵害になる」というもので、それに基づき礼状なき捜索や証拠の留置、密室での自白強要とも言うべき取調べのごときものまで可能にするものでした。これに対して私を含めて大きな国民的反対運動がありました。それは、人権は大切であるからこそ、人権を名として憲法に保障された国民の権利が侵害されてはならないからです。

③本意見書でスローガンに当たるのがヘイトスピーチです。本文中には「いわゆるヘイトスピーチ」と書かれており、それを「一部の国や民族、特定の国籍の外国人を排斥するような言動」としています。しかしこれは拡大利用が簡単にできます。たとえば移民を受け入れるに際し、特定の国からは入れない、国別に人数を制限するという議論も、特定外国人の「排斥」にあたるとして禁止することができます。これは国家主権の侵害です。或いは特定の国からの入国はより審査を厳重にすべきである、という主張や、外国人別の犯罪統計や犯罪内容の公表、外国人による反日活動の国別の実態公表なども阻止できる口実を与えることになります。

④本意見書は新法制定やそれに近いものもとめていますから、現行の刑法では取り締まれない行動を取り締ることをめざしています。しかし「一部の国や民族、特定の国籍の外国人を排斥するような言動」であると、ある勢力にとっては思えるもの、思いたいものであったとしても、現行刑法で処罰の対象にならないものは、憲法に認められた国民の権利主張であるとみるべきです。

⑤それも処罰しようというのですから、まさしく人権擁護法案同様、言った者勝ちの「反人権・反差別全体主義」を指向するのが本意見書といわねばなりません。本意見書を活用して行動する者には、自分が気に入らないことをなんでも「ヘイトスピーチ」にしてしまうことが許されてしまいます。そういう意見書は自由や人権の敵であって、賛成することはできません。

⑥そもそも「排斥」自体は否定されるべき行為ではありません。日本への入国に際して、入国を認められなかった側から言えば特定外国人や外国籍が排斥されたことになるでしょう。しかし外国人の入国は日本国家の主権の発動で認められるものであって、外国人の権利ではありません。つまり一部外国人を排斥することも国家の権利ですから、そうした国家行為を「主権者たる国民」が求める意思表示は民主国家としてみとめられなければなりません。

⑦本意見書は、排斥の一語で国民の主権意思の表明を禁圧しようとするもので、まさしく反国民、いや外国人優遇・日本国民差別推進意見書というべきものです。とうてい賛成することはできません。

2.私は国家主権の尊厳を損なう意見書には賛成しません。

①本意見書は、連合国の委員会からの勧告も口実に使って政府に立法行為をもとめています。私は連合国の委員会勧告も、国家主権に対する侵害を徹底して排除しつつ、是々非々で取り扱うべきもので、それを振りかざして我が国政府に要求するような態度は独立国民として恥ずべきものと考えています。私は国連を崇高なものとありがたがるような心情は、かけらもありません。

3.無能力議員、やったふり議員、であることを自認する意見書には賛成しません。

①もし本意見書で求めているような措置が必要だと議員が判断しているなら、さっさと条例案を作成し審議すればよいのです。「ヘイトスピーチ」なるものを禁止したいのなら、それが行われている現場でまず対策をとるべきです。それだけの権限は市議会にも市にも与えられています。自分たちでできることをまずやるべきです。本意見書を出さなければ、対策をしないのですか。また国が何かしなければ市として、市議会として何もしないのでしょうか。

②本意見書しか議会に提出されていないことに注目すべきです。これはヘイトスピーチの定義の困難さ、したがって単純粗雑な禁止措置をとれば、憲法に定める言論の自由、政治活動の自由、思想信条の自由などに抵触することになることを、提案者が認識しているからにほかなりません。具体化しようとすれば難しい問題が次々でてくるのです。だから条例案が作れないのです。

③代わりにスローガンを生産して、さも人権意識の高い私たち、という振りをしてごまかそうとしているのです。このような行為は、最もよく言って無意味であり、端的にいえば、有害無益な薄っぺらな善人ごっこ、安っぽい点数稼ぎにすぎません。

④日ごろは口をひらけば、地方分権、権限委譲といいながら、すでに与えられている権限は使おうとせず、国に意見書を出すことで、何か価値あることをやった気になっている市議会議員。これを無能議員といわずして何というのでしょうか。私は、こうした議員活動をよしとしません。

⑤自分たちに与えられている権限を最大限活用しようとせず、スローガンを生産するだけの議員活動に私は価値を認めません。そうした「やったふり議員」に存在価値はない、と考えています。

⑥このような無価値な意見書を審議に付すだけでも、市の職員の業務が増えます。公務員に無駄な業務をさせることは、税金の無駄遣いであり、電力をはじめとするエネルギーの無駄遣いであり、紙や印刷インクの原料となる資源とそれらを生産するために必要なエネルギーの無駄遣いです。

4.人権高唱勢力に関する歴史を隠蔽せず直視し、正しい現代史観に立脚すべきです。

①小泉訪朝に際して北朝鮮が拉致の実行を認めるまで、北朝鮮による拉致被害を訴える行動に対して、旧社会党勢力をはじめ親北朝鮮勢力は、日本反動によるでっち上げだ、といった罵倒をあびせてきました。

②犯人が認めるまで、かれらがどれほど拉致問題を国民に知らせる活動を妨害してきたか。そして拉致否定勢力こそは、日本国内で人権尊重や差別反対を声高に唱えてきた歴史のあることを、日本国民はけして忘れてはなりません。

③また、私が以前に市政報告でも取り上げた、在日朝鮮人による日本国民に対する虐殺や略奪などの事件についても、報道や教育などが妨害され、隠蔽されてきた歴史が正しく認識されなければなりません。

④これらの隠蔽、妨害に際して、人権や差別の言葉をつかって、どういう行動がなされてきたかについて、特に人権尊重、差別反対を唱える人たちは、歴史を直視すべきであり、歴史の反省に立って正しい道をとるようにしなければなりません。

⑤過去に人権、差別という言葉を用いてなされてきたことに対する正しい歴史観にたてば、本意見書のようなものは、歴史に学ばず、過ちを繰り返すものであって、賛成してはならないことはすぐに理解されます。それに賛成するということは現代史に関する正しい歴史観をもっていないことを示しています。私は今後とも、全力を挙げて、現代史に関する正しい歴史観の普及につとめていきます。

5.日本国民の覚醒とその表現を阻止する措置には賛成できません。

①日本国民に対する一部勢力による不当な対処が明らかにされつつあります。それによって非難と責任追及が及ぶのを恐れる勢力が、日本国民の告発や怒りの表明を「ヘイトスピーチ」という言葉で一括して封印しようとすることは、けっして許されることではありません。

②もしどうしてもこうした意見書を出したいなら、日本国内で日本国と日本国民に対する差別行為を行う人物の入国禁止や経済行為の禁止、捏造である従軍慰安婦に関する外国の教科書記述の是正や記念碑の撤去など、国家主権を発動して日本国民を守る行為を政府に求めるものとすべきです。

本意見に賛成しないのは人権意識が低い、といった判断は笑止のきわみです。くだらない意見書、危険な意見書には反対しなければなりません。また意見書を出すのが、その問題に対し高い問題意識を持っている証明にはなりません。たとえば昨今子供(少年法が適用され、凶悪犯罪を犯しても氏名・顔写真の公開がなされない年齢層の者の意味で使います)による凶悪犯罪が増えています。現に川崎市でもそうした犯罪がありました。まさに当市には当事者性がありますが、本意見書の提案会派は何をしていますか。何かといえば日ごろ人権をとなえている会派は何をしていますか。「未成年者犯罪を根絶するための対策を求める意見書」は提出されていません。かれらは未成年者犯罪の根絶になんら関心がないということになるのでしょうか。

以上。