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議会報告 政治・経済

株主資本主義で減った企業の設備投資2016/11/04    

1980年代の英米からはじまり、1990年代には日本を含む全世界に広まった新自由主義(市場原理主義)。

これをグローバル資本主義と言ってもいいですし、株主資本主義と言ってもいいわけですが、我が国では2000年代以降、株主利益の最大化の傾向が顕著になりました。

例えば、日本企業の株主還元は配当が主流ですが、仮に全ての株主が持株比率に準じて自社株買いに応じると、株主にとって配当支払いと自社株買いの経済効果は同様になります。

企業は法人税等の税金を納めた後に残る利益(税引き後利益=純利益)から配当金を支払いますが、この純利益で自社株を購入すると発行株式数が減ります。するとまず、そのことだけで株価は上昇します。また1株当たり利益も改善されますので、翌期以降の 1 株当たりの配当額も増加するこ とが期待できるという仕組みになっています。

よって、株主が投資収益を拡大するには、なんといっても企業の純利益が増えることが前提となります。

先述のとおり、純利益は税引き後利益のことですので、法人税を減税させることができれば純利益を拡大させることができます。だからこそ株主らが経営陣に対して純利益の最大化を求めるのは自然な流れとなります。配当金や自社株買いを最大化することが可能になるわけですから。

世界のあちらこちらで新自由主義的政策が採用されて以来、「会社は株主のもの」という考え方が蔓延しました。

その流れのなかでコーポレート・ガバナンスという言葉が登場したわけですが、要するに「経営者は株主の意見をよく聞け!」ということです。

これによる弊害は多々ありますが、本日は一点のみ取り上げさせて頂きます。

それは、コーポレート・ガバナンスが強化されて以降、株主利益の自社株買いは増えつつも、その一方で企業の未来への投資である設備投資が減る、という状況が現出したことです。

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上のグラフのとおり、企業の自社株買いは右肩上がりで増えてきましたが、下のグラフのとおり、法人企業統計ベースでみますと、企業の設備投資額(当期末資金需給)は1991年をピークに減少して右肩下がりです。因みに、内閣府の国民経済計算(民間設備投資)でみると、1997年がピークです。

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企業は儲けた利益や借り入れによって、新たな投資を行い生産性の向上や新商品の開発等を行うべき主体です。

ところが、コーポレート・ガバナンスでは「設備投資を減らしてでも純利益(配当と自社株買い)を増やせ!」となります。それに従わるざるをえない経営者。

とはいえ、設備投資は未来の所得を創出するための重要な支出です。

それを減らせば、当然のことながら未来の所得が減ることになります。

新自由主義(株主資本主義)が経済成長を低迷させ、デフレを助長し、国民の所得及び実質賃金を下落させる要因はここにあります。

株主資本主義は、設備投資のみならず、企業の人材投資や技術開発投資までをも抑制しています。