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議会報告 川崎市政

時代錯誤2016/10/31    

アメリカの大統領選では、トランプはTPP反対で、クリントンはTPPの内容見直しを主張しています。要するに、TPPは今後どうなるかわからない状態であるというのに、なぜか政府・与党はTPPの成立を急いでいます。

その背景には日本の為政者たちのグローバリズムへの信奉があるのだと思われます。

昨日のエントリーでもご紹介させて頂きましたとおり、グローバリズムの前提となっているイデオロギー(新自由主義)は自由貿易を常に善なるシステムとしているからです。

『TPP論戦、いよいよ大詰め 暮らしはどうなる?
http://www.asahi.com/articles/ASJBX5RCXJBXULFA022.html

環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる衆院での論戦が大詰めだ。28日は安倍晋三首相が特別委員会に出席して「食の安全」などを審議した。新たな国際ルールの暮らしへの影響を、政府はどう説明しようとしているのか。論戦から探った。TPPは参加12カ国で、関税が撤廃されたり引き下げられたりする。特に影響が大きいとみられるのは農林水産物だ。コメや牛肉などは関税が維持されるが、果物など約8割の品目は関税が撤廃される。民進党の篠原孝氏は「リンゴやミカンもダメになるのではないか」と心配した。(後略)』

グローバリズムといえば、川崎市長も「これからはグローバル化の時代だ!」と自慢げに語っています。これも以前のエントリーでご紹介させて頂きましたが、念のためもう一度掲載します。

『川崎市国際施策推進プラン
http://www.city.kawasaki.jp/170/cmsfiles/contents/0000075/75323/plan.pdf

今後、ますますグローバル化が加速し、本市を取り巻く社会経済状況が大きく変化していく中で、もともと多様性に富んだ川崎のまちをさらに発展的に昇華させていくため、市民、市民団体、企業など多様な主体と連携し、川崎が持つ無限のポテンシャルをいかし、本市全体でめざすグローバル都市の実現に取り組んでまいります』(2015年10月『川崎市国際施策推進プラン』市長の言葉より抜粋)

川崎市長によれば「今後もますますグローバル化は加速する」のだそうです。

本当にそうでしょうか?

世界の主要国を見回しますと、一様に経済的もしくは政治的困難に直面しています。

例えばアメリカは2008年にリーマン・ショックを起こし世界経済を混乱に陥れました。それこそグローバリズムが進展してきたことで米国の金融商品に投資してきたEUに飛び火し、ギリシャ、スペインなどは国家破綻寸前にまで追い込まれました。ギリシャなどはデフォルトしているという意味で既に破綻しています。加えて、東欧諸国からの移民の流入等で苦しまされてきたイギリスは早々にEUとの決別を選択し、いよいよユーロ・グローバリズムが行き詰まっています。

これらの背景にあるのは、アメリカをはじめとする各国がグローバリズムの名のもとにあらゆる規制を取り払う新自由主義的な政策(例えば構造改革)を推進し、歯止めのないグローバル化を進めてきた結果です。

にもかかわらず、川崎市長がそうであるように、今なお多くの政治家、官僚、経済学者たちは「グローバル化は不可避である」かのように唱え続けています。まるでグローバル化こそが日本国民のみならず、世界の人々を幸せにするかのように、です。

日本が直面しているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)問題もその一つです。

歴史的にみて見逃してはならないのは、グローバル化は覇権国家が世界の安全を保障しなければ成立しえないことです。

現在のグローバリズムを成立させてきたのはアメリカによる覇権です。

しかし、テキサスA&M大学のクリストファー・レイン教授が既に提唱されているように、明らかにアメリカは世界の関与から手をひこうとしています。

例えば、ロシアによるクリミア強奪の際にもアメリカは多少の経済制裁を行っただけですし、シリア問題をはじめ中東の混迷に対しても結局は地上軍を投入することができず収拾のつかない状況が続いています。シナの南シナ海における振る舞いに対しても警告を発するだけで何も軍事行動を起こしません。尖閣問題に至っては従来の日米安保解釈を繰り返すだけで何もしていません。

要するに、既にアメリカはグローバリズムを維持する覇権国としての意志を完全に喪失しています。

一方、グローバリズムは、その支柱となっているイデオロギー(新自由主義)から各国政府に構造改革を進めさせてきたことで、今や世界的なデフレ状況を深刻化させています。

現にグローバリズムが進んだ1980年代以降、世界各国の成長率は鈍化しています。そのうえで国境を否定し、ヒト、カネ、モノの移動を自由にさせてきたことから、先進国と言われてきた国々でさえも失業率は高まり雇用が不安定化し実質賃金は下がり格差も拡大してきました。

更には、グローバリズムは株主資本主義でもあることから、株主利益を最大化することを目的としています。よってグローバル企業は、株主への配当原資である純利益の最大化を図ろうとします。

どのように?

むろん、世は需要不足のデフレ状態ですので、できうる限りのコストカットが主となります。

人件費減価償却費技術開発投資販売管理費をはじめ各種メンテナンスも削減対象です。

四半期利益を最大化しろ、とグローバル投資家らに言われれば経営者たちはそのようにせざるをえません。

このような経済システムが国民のためになろうはずがありません。

メンテナンスコストがカットされれば、当然のことながら各種施設やサービスの安全性が損なわれます。

人件費が抑制されれば、実質賃金が下がります。

実質賃金が下がれば、デフレ化が更に進みますのでGDPも税収も縮小し行政サービスが劣化します。

詰まるところグローバリズムが進めば進むほどに、トマ・ピケティが言うように所得で暮らす国民は貧しくなり、投資収益で暮らす投資家は豊かになる社会(g<r)になります。

であるからこそ今、世界ではグローバリズムが揺らいでいるのです。

世界では既にグローバリズム終焉しようとしているのに、最もグローバリズムに適していない国未だグローバリズムを推進しようとしているところに我が国の危機があります。