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議会報告 川崎市政

桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿、デフレ期の構造改革はもっと馬鹿2016/10/27    

デフレの直中だというのに、政府が馬鹿げた構造改革の一層の推進を図っています。

『インフラ民間開放を検証 政府、参入障壁など議論へ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H47_W6A021C1PP8000/

政府が11月に実施する国の予算検証「行政事業レビュー」で、インフラのPFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業を取り上げることが26日、分かった。上下水道事業の民間開放を目指す大阪市の幹部らを招き、インフラ事業への民間参入の障壁や国の支援のあり方を議論する。28日に開く行政改革推進会議(議長・安倍晋三首相)で正式に決める。(後略)』

てっきり、デフレ期に公的サービスを民間開放することのデメリットでも検証するのかと思いきや、民間の参入障壁を検証して国の支援の在り方を議論するのだそうです。あいかわらずです。

今年の1月あたりに当ブログでも取り上げましたが、こうした公的サービスの民間開放の必要性を主張する人たちには次のような基本思想があるのだと思います。

「競争意識のない公務員が運営するよりも、コスト意識のある株式会社に運営させた方が、より市民サービスの拡大充実が見込まれる!?」

いわゆる新自由主義派(グローバリズム派といってもいいし、新古典派経済学派といってもいいです)とされる首長さんを頂く地方自治体において、こうした公共インフラを民間に運営させようという動きが活発化してきました。

我が川崎市議会にも、「公務員は無駄の極み、コスト意識の高い株式会社こそが正義」と言わんばかりの主張を展開する議員さんもおられます。

しかしながら・・・

例えば、この超デフレの中で、川崎市が水道事業を民営化したとします。

民営化によって、確かに川崎市の行政コストがとりあえず下がります。というか、それが目的です。残念ながら、新自由主義派の皆さんの思考はここで終了します。

ところが、ところが・・・

水道事業の運営権を購入した民間水道会社は、新たな付加価値を創出するわけではありません

新たな付加価値を創出しているわけでもない民間水道会社が水道事業を運営したところで、「よしっ、これまで以上にもっと水道をつかおう!」という間抜けな川崎市民はいないでしょう。ここがポイントです。

即ち、水道事業という公的サービスが民営化されたからといって市民の水道需要が伸びるわけではないのです。ところが、請け負った民間事業者は株式会社です。たとえ需要が増えなくても必ず利益を最大化させねばなりません

需要が増えない状況で利益を拡大するにはどうすればいいか?

むろん、コストカットです。例えば、メンテナンス費用カット。あるいは、人件費カットです。

下の二つのグラフを見てください。

川崎市の給水世帯数は一貫して増えてきましたが、一方の配水量は逆に減っています。

給水世帯数の推移

配水量の推移

※2009年度から2010年度にかけて配水総量が増えているのは、それまで算入していなかった工業用水向けの供給を2010年度以降に算入するようになった、という統計上の理由です。けっして市民の利用量が増えているわけではありません。

給水世帯数が増えつつも、配水実績が減っているのは、節水技術の発達や長引くデフレによる需要不足があるものと考えます。

先述のとおり、こうした水道需要が減退する中で水道事業を民営化した場合、請け負った民間水道会社はどのようにして利益を追求するのかまでを考えなければなりません。しかも請け負った株式会社が外資系企業であったならどうなるのかまでをも含めて。

だったら「条例で料金に上限をつければいいじゃないか」と言われる人もおられることでしょう。

しかし、料金に上限が設定されると、一義的には一般消費者ではなく別の誰かが損をすることになります。そりゃそうですよね。例えば民間水道会社で働く職員のリストラや給与削減が行われます。結果、この民間水道会社で働く従業員の士気の低下は避けられないでしょう。

つまり「川崎市の歳出削減分」「民間水道会社の利益分」により、必ず誰か損をする存在が現れるということです。

それだけではありません。料金に上限があり、売上を増やせないとなると、あとは伝家の宝刀「安全性無視のメンテナンスコストのカット」です。

道路公団の民営化でもそうでしたが、公共インフラの運営を任された株式会社がコストカットを追及すると、必ず品質や安全性にツケが回ります。中央自動車道の笹子トンネルでの事故はその典型ではないでしょうか。

「株式会社はリスクに合わないコストカットを避けるので安全性は絶対に損なわれない」と豪語していた民営化論者たちは、実際に事故が発生してもとぼけて知らんぷり(無視)しています。

断っておきますが、私はけっして株式会社を否定しているわけではありません。株式会社には株式会社の目的と役割があり、行政には行政の目的と役割がある、と述べたいだけです。

そして何よりも、デフレ期にはデフレ期の、インフレ期にはインフレ期の政策がそれぞれ存在する、ということが言いたいのです。