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議会報告 政治・経済

公益資本主義の国なのに2016/10/21    

原丈人(はらじょうじ)内閣府参与のいうところの「公益資本主義」は、なるほど松下幸之助さんの「会社は社会の公器」に通じていて説得力があります。

その「公益資本主義」に対峙する概念こそが、「株主資本主義」であり、「グローバリズム」であり、「新自由主義」であり、「市場原理主義」です。

私的所有権の絶対視から「会社は株主のもの」としたマイケル・ジェンセンエージェンシー理論にみられるように株主資本主義のバックボーンとなっている学問こそが新古典派経済学です。

自由な競争市場こそが効率的に資源を配分して経済厚生と消費者の効用を最大化するという理屈です。

さらには「自由な競争市場を成立させるためには国境は不必要であり、ヒト、モノ、サービス、カネの国境を越えた移動の自由こそが重要なのだ」と彼らは言うのです。

その具体的手段が、いわゆる「構造改革」となります。

構造改革は80年代にイギリスやアメリカではじまり、90年代以降、全世界的に展開加速しました。

そこで我が国(東京証券取引所)の株式保有比率を時系列でみてみますと下のグラフのとおりになります。

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グラフの青い部分外国法人等株式保有比率の推移です。

明らかに我が国においては、1990年代の金融ビックバン以降に増えています。

今や、株式保有の約3割を占める外国法人等の投資家が東京市場の約7割を動かしている、という状況です。

その外国人投資家らは、常に日本政府に構造改革を求めてきました。いまも求めています。

そうした圧力のもとで構造改革が進められるようになって以降、我が国ではいわゆる「雇用の流動化」の名のもとに非正規雇用や派遣社員が増え、派遣業の業績とシェアが拡大していくことになりました。

構造改革は、株主利益を最大化するために人件費を抑制しなければならないので雇用の流動化を是としています。人件費を抑えれば株主配当の原資となる純利益を高めることが可能になるからです。

そこで、下のグラフをご覧ください。『労働政策研究・研修機構』に興味深いデータが掲載されていました。

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上のグラフは、日本アメリカイギリスドイツ韓国勤続年数の雇用者割合を比較したものです。

最も構造改革が進んだアメリカは酷いですね。10年以上勤続している雇用者の比率が一番低くなっています。イギリス、ドイツは20年以上勤続している割合が突出していて、しかも勤続年数の少ない雇用者の割合は低くなっています。

一方、既にグローバリズムの植民地と化している韓国は、20年以上勤続している雇用者の比率は低く、勤続年数10年未満の雇用者が多いようです。そして残念ながら我が国は、その韓国の姿を追っている状況かと思います。

ただ、ドイツはユーロ・グローバリズムによって外国人移民を入れすぎて大変なことになっています。イギリスにしても、ハンガリーやポーランドなどの東欧諸国が2004年にEUに加盟したことから移民が流入し続け、ネイティブ・英国人の実質賃金が下がりました。であるからこそのブレグジット(英国のEUからの離脱)だったのです。

といいつつも、イギリスやドイツにおいて雇用者の勤続年数が平均的に長いのは意外です。

多くのばあい、仕事(成果)はそれまでの努力や経験や実績の蓄積がものをいいます。その点、国民(就業者)の平均的な勤続年数が長いことは大きな国益であると思います。

グローバリズムを叫びながらも、閉じるところは閉じていて自国の国益を損ねないのが覇権国。グローバリズムを叫びに叫んで、そのまま開けっぴろげにして国益を損なっていくのが隷属国といっていい。といっても、ドイツは総体として閉じきれていませんが・・・

グローバリズムに最も適していない国である日本国が、なぜか周回遅れで構造改革に邁進しています。

デフレ期の構造改革は、公益資本主義を容赦なく破壊します。