去る10月4日、内閣府から9月の消費動向調査が発表されました。
調査によりますと、暮らし向き・・・が、「良くなる」 「やや良くなる」 「変わらない」 「やや悪くなる」 「悪くなる」・・・と思うかどうかの意識調査(二人以上の世帯)では、「やや」を含めて「良くなる」と思っているのは、わずか4.2%しかおらず、圧倒的多数(95.8%)が「良くはならない」という結果でした。
上のグラフは、あくまでも二人以上の世帯を対象とした調査です。結婚していない若年層世代の消費意識はもっと深刻な状況かと推察されます。
デフレの長期化とグローバリズムという株主資本主義の蔓延によって、いまや大手企業の正社員であっても手取りで15万円(月額)前後という若者たちが大勢おられます。派遣社員に至ってはさらに厳しい所得環境です。
そうした中、一昨日の10月4日、平成28年度一般会計補正予算案が衆議院を通過し参議院に送られました。
補正予算案をみますと、「未来への投資を実現する経済対策」(8⽉2⽇閣議決定)の実⾏に伴う 平成28年度追加(国費)として、1)一億総活躍社会の実現で7137億円、2)21世紀型のインフラ整備で1兆4,056億円、3)英国のEU離脱に伴う不安定性などのリスクへの対応並びに中小企業・小規模事業者及び地方の支援として4,340億円、4)熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対応の強化で1兆9,688億円、とのことです。
8月2日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」の総事業規模は28.1兆円です。
とはいえ、総事業費28.1兆円の大部分が財政投融資であり、国と地方の実質的な歳出(いわゆる真水)は7.5兆円(うち国費が6.2兆円)に過ぎません。財政投融資はあくまでも融資ですので、民間部門がそれを借りて使ってくれないことにはGDPとしてカウントされません。
内閣官房参与の藤井聡先生は、はやくも次なる補正の準備が必要であると指摘されています。現在のデフレギャップは15兆円以上ありますので、7.5兆円では足りないのでしょう。
しかも安倍政権は16年度上半期に、下半期の公共事業1.8兆円分を前倒して執行しておりますので、今回の補正予算で公共事業費が1.4兆円増えつつも、前倒し分だけでもまだ4,000億円が欠けていることになります。
国(中央政府)から地方政府に至るまでの家計簿ポリティクスによるケチケチ予算が、れいのごとくデフレ脱却および景気回復を阻んでいます。