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議会報告 未分類

家計簿ポリティクス2016/07/28    

 安倍内閣が取りまとめる新たな経済対策の事業規模は、28兆円を上回る方向で調整しているようです。

 リニア中央新幹線の建設加速や子育て支援の充実などに加え、所得が低い人向けの給付金を追加することなどが検討されているとのこと。

『経済対策、政策を総動員 財源やりくりに腐心
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H5B_X20C16A7EA2000/

安倍晋三首相は27日、来月2日に閣議決定する経済対策の事業規模を28兆円超にすると表明した。複数年度にまたがる対策を一括して示し、大規模な対策を求める市場の期待に応える狙いだ。厳しい財政状況下で財源が限られるため、国が資金を調達して低利で供給する財政投融資もフル活用する。経済効果がみえにくい面もあるが、首相の経済政策「アベノミクス」の再始動に向けて政策を総動員する。(後略)』 

 従前より述べておりますとおり、問題は真水(財政出動)の額と対象と期間です。

 経済対策の目的はあくまでもデフレ(総需要の不足)の解消なのですから需要を直接的に埋めるための真水が重要であることは言うまでもありません。それにインフラ投資や防災投資など、政府が大規模プロジェクトに対して継続的に支出することが示されることによって、そこではじめて民間投資が盛んになりはじめます。

 真水が不十分だと需要不足は埋まらず、民間投資は喚起されることなく資金需要も増えないでしょう。

 どうやら国や地方が実際に支出する真水(財政出動)は7兆円前後の規模で調整されているようです。結局は、できるだけ真水額を押さえつけたい財務省の思惑どおりに話しが進んでいるのではないでしょうか。

 藤井内閣官房参与によれば、実際の需要不足は20兆円程度あるようですので、この7兆円という額でデフレ脱却のための脱出速度を充分に確保することができるのか疑問です。

 なぜ財務省は真水を増やしたくないのか。

 その理由の一つは、2020年までにプライマリー・バランスの黒字化を達成しなければならない、という目標があるからです。真水ではない、例えば財政投融資(政府が借りた資金を民間にまた貸しする制度)などによって規模を膨らませているかぎりプライマリー・バランス目標に影響をあたえることはありません。なので、真水以外で28兆円にまで膨らませることには妥協したのでしょう。

 今の日本では、このプライマリー・バランス目標がデフレ脱却にとって大きなネックになっています。せめて建設国債(公共投資のために発行する国債)の発行額についてはプライマリー・バランスの対象から除外してほしいものです。というか、本来は除外すべきです。

 そもそもプライマリー・バランスの黒字化を財政再建の目標においていること自体が誤りで、財政再建の定義は「政府負債残高の対GDP比率の低下」とするべきです。それが国際基準なのですから。(プライマリー・バランスの黒字化を財政再建目標にしておいたほうが都合のいい人たちがいる)

 本日(7月28日)、川崎市議会まちづくり委員会にて『麻生区万福寺4丁目交差点に横断歩道橋の設置を求めることに関する請願』の審査があります。

 審査では行政側が難色を示すのは必至です。詰まるところ「予算的に厳しい」という財政問題です。川崎市に限った話しではなく、それぞれの地方自治体においても「プライマリー・バランス目標」という呪縛があります。それがあるかぎり、国民の安全を確保するためのインフラ整備ができないのです。 

 プライマリー・バランスの黒字化こそが善、というように借金そのものを悪とする考え方は家計簿の発想です。企業や行政までもが借金を悪としてしまうのは資本主義の否定です。問題は借金の比率なのであって、その比率を低下させるためのデフレ脱却です。

 家計簿ポリティクスが国民を貧し、また国民の安全を損ねています。