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議会報告 未分類

産業革命以前の脳みそ2016/07/15    

「川崎市の人口をもっと増やしたい。増やしてもっと発展させたい」

 と、常々、川崎市長が言っています。

 市長がそのように言うもんだから、私の住んでいる多摩区の区長(市長が任命する市の職員)までもが同じように、

「多摩区の発展のために多摩区の人口をもっと増やしたい」

 と言っています。

 私は、この「人口が増えないと街が発展しない」思想は、二つの観点から間違っていると思います。

 まず第一に、昨日のブログでも述べさせて頂きましたが、現在、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)には約3500万の巨大人口が集積しています。これをいかにして地方に分散し、地方創生と東京圏の防災安全保障の強化を図っていくのかが、いまや国家的課題となっています。

 例えば、内閣府の首都直下型地震被害想定をみると、東京湾北部地震M7.3を前提にしたライフライン施設被害による供給支障は、

電力→約160万軒

上水道→約1100万人

ガス→約120万軒

通信(固定電話)→約110万回線

 避難者は最大で約700万人で、うち避難所生活者は約460万人。帰宅困難者は約650万人で、うち東京都だけで約390万人とのことです。

 なんといっても、これまで約3500万人もの巨大都市が大災害に見舞われたという類例が世界にはありません。よって、更なる想定外の被害も充分に考えられます。であるからこそ、地方と東京圏との人口とインフラ格差を解消することが求められており、そのことが国土強靭化につながるわけです。

 このように世界最大の自然災害大国である日本国であるからこそ、人口が各地域に分散しなければならないのです。地方創生は地方のためだけではなく、東京圏のため、ひいては日本国の為でもあるのです。

 なのに・・・「もっと川崎市の人口を増やしたい」のだそうです。市長は、地方は衰退してもいい、あるいは東京圏の住民を危険に曝してもかまわない、とお考えなのでしょうか。

 そして第二に、「人口が増えなければ経済や社会が発展しない」という考え方は産業革命以前の発想です。

 ご承知の通り、今年の経済成長率は○○%です、というように毎年確実に経済が成長するようになったのは産業革命以降のことであり、人類にとっては新しい歴史です。

 産業革命以前は、経済成長という概念もなく、貧しい(貧しいの定義は所得が増えない)時代が長く続いていました。

 なぜなら産業革命以前の社会は、付加価値の生産量は主として「土地」と「労働」に限定されていたからです。例えば、農業生産をひき上げるには、土地を増やすか、あるいは労働者を増やすか、あるいは両方を増やすか、しかありませんでした。

 そうした社会では人口の多寡が生産量(モノやサービスという付加価値の総量)を決めることになります。しかしながら、一人当たりの生産量(所得)はあまり変わりません。そこに経済成長しない理由があります。経済成長とは、一人当たりの所得(付加価値量)の拡大のことなのです。

 ところが、産業革命以降は違います。

 それまで生産活動に「土地」と「労働」を投入することで成立していた経済が、今度は「生産資産としての資本」と「労働」及び「技術」を投入することで、飛躍的に一人当たりの所得が向上していくことになったのです。

 即ち、労働量(人口)が増えなくとも、生産資産と技術革新におカネを投じることによって、モノやサービスという付加価値の生産量を増やすことができるようになりました。

 モノやサービスという付加価値は、イコール、所得です。人を増やさずして所得が増えると、自然、一人当たりの所得が増えます。そのことを経済成長といいます。

 一方、よく巷には「これからの日本は人口が減るから需要も減って衰退するぅ~」などと吹聴する人々がいますが、間違っています。

 2006年をピークに総人口が減りだした我が国の消費支出(政府民間消費÷総需要)をみると、下のグラフのとおりです。

総人口は減っても需要は減らない

 このように(赤丸部分)、総人口は減っても一向に需要は減退せず、むしろ増えています。そりゃあそうでしょう。高齢化社会には高齢化社会なりの需要というものがあるんですから。

 それよりも注視すべきは人口構造の問題です。

 川崎市のみならず、これからの日本における人口問題の最大の問題点は、生産年齢人口(15~64歳人口)比率の低下です。日本の総人口の減少率はたかだか毎年0.1%程度です。ところが生産年齢人口は毎年1%の勢いで減っています。 総人口は2006年をピークにして減りはじめましたが、なんと生産年齢人口は1992年をピークに減りはじめました。

生産年齢人口比率の推移

 総人口の減少でも需要は高まる一方で、15~64歳までの生産年齢人口が減少していく。即ち、これからの日本は、

 供給<需要

 の状態になるのです。

 ここで、公共投資、民間設備投資、技術開発投資の各投資を着実に行えば、人口を増やすことなく生産性を向上させることが可能になります。とりわけサービス産業については第四次産業革命ともいわれる、一人当たりの生産性向上を可能にする技術革新の時代を迎えています。

 ここでもし、「人口を増やさないと衰退しちゃう~」とか言って、外国人労働者などを大量に受け入れるようなことをすると、生産性向上のための技術革新は起こらず、ひたすら日本人は低賃金労働者たる外国人たちとともに低所得で暮らしていくことになります。川崎であれ、日本であれ・・・

 ・・・それを衰退といいます。