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議会報告 未分類

法に依らない処刑2016/07/12    

 アメリカ政府は、北朝鮮の人権侵害に関わっているとして、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を対象に制裁を科すようです。

『米政府 人権侵害で北朝鮮キム委員長への制裁発表
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160707/k10010585971000.html

(前略)アメリカ政府は、6日、北朝鮮の人権侵害に関わっているとして、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長や警察のトップに当たるチェ・ブイル人民保安相など、政権の幹部10人を新たに制裁の対象に加えたと発表しました。アメリカ政府がキム・ジョンウン委員長を対象に制裁を科すのは初めてです。(後略)』

 アメリカ国務省の報道官によると、北朝鮮の人権状況は世界でも最悪で、政府によって法に基づかない処刑や強制的な失跡、それに拷問などが続いているのだそうです。

 なるほど確かに酷い話しです。

 と同時に、ぜひ以下の件についてもアメリカ政府の見解を賜りたいものです。

 それは昭和21年~23年ごろの話しで、ある戦勝国が敗戦国の指導者たちに対して行った裁判のことです。

 そもそも裁判とは、

 ①罪刑法定主義(法なければ罪なく、法なければ罰なし)

 ②事後法禁止の法則(法の不遡及の原則)

 が、基本原則であろうかと思います。世界広しといえども、これを否定する法律家はおられないものと存じます。

 ところが昭和21年4月29日に、この二つの原則が蹂躙される事態が発生します。戦勝国は事後法を拵え、検察団を派遣して敗戦国の指導者らを起訴しました。

 その裁判は同年5月3日に開廷されたのですが、たまりかねた弁護人はすぐさま裁判長に対して、

「この裁判の管轄権はどこにあるのですか?」

 と質問したところ、

 検察側の手先でもある雇われ裁判長は、

「それについては、後日、闡明(せんめい)する」

 と、お答えになられました。

 あれからすでに70年近くも経っているのですが、その管轄権は未だに明らかにされておりません。要するに、裁く法律がないままに裁判を催し、被告による反論も、弁護人による弁護も、検察側にとって都合の悪いことは悉く無視して挙句の果てに処刑したのです。そうです、まさしく法に依らない処刑です。

 だいたい検察側が判事団を選定し構成すること自体が、法廷憲章違反かと思われます。

 名ばかりの裁判で処刑するというのは集団私刑(集団リンチ)そのものであり、金正恩の所業と何ら変わりがないのではないでしょうか。

 因みに、処刑された被告の一人は次のような言葉を残しています。

「我々は敗戦国の指導者として、自国民に対して罪を負っている。その罪は死んでも償いきれないほどに重いものであることを承知しており、いかようにも裁かれる覚悟だ。即ち我らは国民に対して有罪なのであって、戦勝国に対して有罪なのではない。何よりも我が国は、戦勝国が事後に拵えたような罪を国策として遂行したことなど一切ない」

 さらに、その戦勝国側の総司令官だった大将が昭和26年に公の場で次にように発言しておられます。

「Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security」

 ・・・という話しなのですが、ぜひ報道官に見解を訊いてみたい。

 結びに断っておきますが、この敗戦国が最終的に受け入れたのは「裁判」ではなく「諸判決」です。

 そこが極めて重要なところなんです。