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議会報告 02 政治・経済

デフレ分野とインフレ分野2016/06/05    

 我が国経済の喫緊課題はデフレーション(以下、デフレ)からの脱却です。

「デフレのほうが物価が安くなって消費者にとって心地いい」とか、言っている議員なり政治家がいたとしましたらよほどの無知です。

 国民経済において、人は所得をもって生活します。

 年金生活者への支給も所得の移転です。基本的には多くの日本国民が所得を基に消費生活を営んでいます。それが国民経済の基本です。(ただし、株や債権や先物取引などで資金を転がし、そうした投資収益のみを所得とする人々については、ここでは別カウント)

 因みに、生活保護者も他の誰かが稼いだ所得からの移転を受けて消費しています。

 要するに経済の基本は「所得」なのです。

 では、所得ってどのように創出されるのでしょうか?

 誰かが生産したモノやサービスを、ほかの誰かが消費や投資というかたちで購入することによって所得は創出されます。

 さてそこで、モノやサービスの売れ行きが悪くなって商品価格が下落したならば、どうなるでしょう。

 例えば、1日にリンゴ100個を一個100円で販売しているAさんという生産者がいたとします。Aさんの仕入れ代金はゼロ。仕入れ代金がゼロということはありえないのですが、話をわかりやすくするためにお許しを。

 @100(円)×100個=10,000円で、Aさんの一日の所得は10,000円です。

 ところがデフレで単価が下がり、リンゴが一個90円になったとします。すると、Aさんの売り上げは1,000円減って、9,000円になります。即ち所得が減ることになります。

 またAさんが、労働量を増やし110個のリンゴを作って、すべて売りつくしたとしても10,000円の所得になりません。

 @90(円)×110個=9,900円

 つまり働けど働けどAさんの所得は増えず、今度はAさんが消費者の立場に回った場合、Aさんが消費者としてモノやサービスを購入する際の支出可能な額も減ることになります。

 このようにして、多くの人の所得が縮小していく状態をデフレーションといいます。

 そうなんです。デフレの恐ろしさは物価の下落ではなく、所得の縮小なのです。

 しかも、こうしたデフレ状態が継続すると、リンゴを作る人材や技術力がやがて毀損されていくことになります。それが経済力(国力)の減退です。なので、デフレは「物価が下がってありがたい」なんていえるシロモノではないのです。

 要するに、仮にリンゴの価格が高くなっても、誰もがそれを購入するに充分な所得を稼ぐことのできる世の中にしなければならないのです。これをデフレからの脱却といいます。

 なのに・・・

『東京タクシー初乗り、1キロ410円…年内にも
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160604-OYT1T50114.html?from=ytop_main4

東京都の23区内と武蔵野市、三鷹市の営業区域で、タクシーの初乗り運賃が約1キロ・メートルで410円程度になる見通しとなった。この区域で運賃改定を申請したタクシー会社の保有台数が、4日までに総車両台数の7割に達し、国土交通省が審査を始める基準を上回った。審査には6か月程度かかり、早ければ今年12月にも初乗り運賃の引き下げが実現する。(後略)』

 問題はタクシー業界の需要のパイが増えていないことにあります。なのに、こうした状況下で価格を下げるといった規制緩和を行えば、なおさらデフレ化します。

 なぜ、デフレ状態(需要不足)の分野で規制緩和などするのでしょうか。まったく理解不能です。

 一方、デフレ期であっても供給不足(需要過剰)の分野はあります。手をつけるなら、そうした供給不足(需要過剰)の分野でしょうに。

 例えば、医療の分野。

療養病床の平均在院日数

 上のグラフは、東京圏における療養病床の平均在院日数です。

 これらの数値は、東京圏において療養病床がいかに不足しているのかを示しています。

 ご自身、あるいはご家族が東京圏の病院に入院され、やがて一ヶ月ぐらい過ぎると、その病院から地方(遠方)の療養病床への転院を促されたご経験のあるかたも多いのではないでしょうか。

 それは東京圏における療養病床の圧倒的な不足に原因があります。

 とくに川崎市は近隣都市のなかでも深刻な状況なのです。

 まさにこの分野は供給不足(需要過剰)状態なのです。これらの分野にこそ行政がカネを使って供給不足を解決すべきなのです。

 例えば、東京圏における病床(一般病床・療養病床)の利用率をみますと、

病床利用率(一般病床・療養病床)

 上のグラフのとおり、東京圏には稼動していない病床がたくさんあります。これら需要と供給のミスマッチを国や自治体が財政支出を伴ってでも調整していくことが求められています。

 政府や自治体による財政支出は「政府最終消費支出」という需要項目の一部ですので、総需要の不足を埋める、というデフレ対策にもなります。

 ただし言うまでもなく、安全を損なうような安易な規制緩和だけは絶対にあってはなりません。

 詰まるところ、政治なるものが「デフレ」を正しく認識できていないがために行政施策がチグハグになっています。