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議会報告 02 政治・経済

本質論に迫れない政治2016/02/25    

 昨日の原口衆院議員(民主党)と黒田日銀総裁との国会質疑のやりとりが日本経済新聞に掲載されていました。

『日銀総裁「保有国債の時価、21兆円減少」 長期金利1%上昇で
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF24H0W_U6A220C1EE8000/

日銀の黒田東彦総裁は24日、衆院の財務金融委員会で長期金利の指標である10年物国債の利回りが年1%上昇するなどして価格が下落した場合、日銀が保有する長期国債の時価は「21兆円減少する」と発言した。2015年12月末時点で試算した。民主党の原口一博議員の質問への答弁。(後略)』

 記事によると、長期金利が上昇すれば日銀が保有する国債の時価が減少する…ということを日銀総裁が答弁した、とのこと。

 国会中継をみていないので、原口議員がどのような趣旨で質問され、黒田総裁がどのような趣旨で答弁されたのかはわかりません。

 推測するに、原口議員は日銀の国債買い取り(量的緩和)のリスクを指摘したかったのではないか、と思われます。もしそうでなかったら、すみません。

 私が気になった第一は、原口議員が長期金利の上昇そのものをリスクとみているのかどうかです。

「金利が上がったら中央銀行が損失を被るじゃないかぁ~」と言いたかったのだとすれば、むしろ金利が上がらないことのほうが現今の日本経済の問題点なのではないですか。

 今はデフレで資金需要がないために金利が上がらないのです。デフレを克服して資金需要が高まれば、即ち景気が良くなれば自ずと金利は上昇します。それとも原口議員は「デフレを克服して景気がよくなったら中央銀行が損するぞぅ」と言いたかったのでしょうか。

 気になった第二は、日銀(中央銀行)が国債を保有することの意味をよく理解されていないのではないか、という点です。

 これまでデフレ対策として量的緩和を行って、つまり日銀が国債を買い取ってきましたが、いずれデフレが克服されインフレ率が上昇する局面になったら、今度は国債を市場に売り戻さなければなりません。ただそれだけの話です。

 一方、日銀は株式会社であり、その株の55%を日本政府が保有しています。即ち、日銀は日本政府の子会社なのです。例えば親会社の社債を子会社が買い取ったらどうなるでしょうか。その場合、相殺されて社債の返済義務はなくなります。

 それと同様で、日銀が国債を保有したことによって、政府が返済すべき実質的な負債は現に減っています。

日銀保有国債等と日銀以外が保有する国債等

「だったら市場のすべての国債を日銀が買い取ればいいじゃないかぁ」とかいうおバカさんも時折いますが・・・

 あのですね・・・

 世の中には国債がないと困る人たちがいるんですよ。例えば皆さんから集めた預金を運用しなければならない民間の金融機関です。彼らは今、デフレで資金需要がないために運用先がなくて困っています。

 いわゆる財政均衡主義によって国債発行が抑制されてきたために市場の国債は枯渇しています。その限られた国債に運用先を求める投資家らが殺到しているからこそ長期金利がマイナスになっているわけです。

 要するに今は、金利が上がる心配よりも下がる心配をしなければならない、という状況です。

 構造改革派(新古典派)は、これ以上の国債発行は金利上昇をもたらすからダメ、と主張してきました。

 ところが、現実は下の2つグラフの通り。

長期金利の推移

国債発行額

 国債発行額と金利水準は逆相関しています。

 果たして、原口議員はこのことを承知のうえで質問されたのでしょうか。

 このまま日銀が更なるマイナス金利政策に踏み切ると、運用先の乏しい金融機関は預金金利の引き下げを行わざるをえないでしょう。預金金利が引き下げられると、家計支出が引き締められて更にデフレ化します。

 現実はそこまで来ています。

 今はただ、かつて高橋是清公が行ったデフレ対策を、そのまま行えば済む話であるのに・・・

 国会の議論は、なかなかそこまで辿り着いてくれません。