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議会報告 未分類

総理も野党もマスコミも・・・2016/02/24    

 昨日、厚労省は2015年12月の毎月勤労統計調査の確報値を発表しました。

 現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金の確報値はマイナス0.2%で、速報値(マイナス0.1%)より下方修正されました。

 そこで、以下の日本経済新聞社の記事をご覧ください。

『実質賃金、12月確報は0.2%減に下方修正 毎勤統計
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL23H71_T20C16A2000000/

厚生労働省が23日発表した2015年12月の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によると、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は前年同月比0.2%減だった。減少は2カ月連続。確報段階でパートタイム労働者の比率が高まった影響で、速報(0.1%減)から減少率が拡大した。(後略)』

 上記の記事に、おかしな点があることにお気づきでしょうか。

 日本経済新聞社は「実質賃金が下がった要因は、パートタイム労働者の比率が増えたからだ」と言っています。

 因みに、過日、安倍総理は「景気が良くなってパートタイム労働者が増えたから、その結果として名目(平均)賃金が下がってしまった」と国会で答弁していました。

 実は、総理も日本経済新聞社も、ともに間違ったことを言っています。これらは明らかな無知からくる誤りです。

 まず、パートタイム労働者が増えたから実質賃金が下がった、という日本経済新聞社の誤り・・・

 パートタイム労働者の比率が増えたことによって減るのだとすれば、それは実質賃金ではなく名目賃金(平均賃金)です。

 実質賃金指数は次のように算出されます。

 名目賃金指数÷持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数×100

 すなわち貨幣で受け取った賃金そのもののことを名目賃金といい、その賃金から消費者物価指数を除した(÷)ものを実質賃金といいます。

 結論からいうと、実質賃金を決定するのはモノやサービスの販売個数です。就業者数の多寡は関係ありません。仮に就業者数が増えても、モノやサービスの販売個数が増えていれば実質賃金は上がります。これは統計上の真理です。

 上記の記事の続きを読んでも明らかなように、名目賃金は上がっています。名目が上がっているのに実質賃金が下がっているということは、モノやサービスの販売個数が減っている、つまり実質GDP(実体経済)が減っている、ということです。

 よって、実質GDPが減っているから実質賃金が下がったのであって、パートタイム労働者が増えたから実質賃金が下がったとする日本経済新聞社の主張は誤りです。

 一方、総理の誤り・・・

 先述のとおり、総理が「下がっている」と発言した名目賃金は上がっています。

 よって「パートタイム労働者が増えたから名目(平均)賃金が下がった」と答弁した安倍総理は、恥ずかしいことに二重に間違えていることになります。実質賃金が下がっていることを質問されているのに名目賃金で答弁されたこと、それに名目賃金は上がっているのに下がっていると答弁したことの二つです。

 総理に質問して、そこを突っ込めなかった野党議員もまた無知です。

 それに、我が国の総理は景気が良くなる」の意味がお解りになっていないようです。景気が良くなるということは、モノやサービスの販売個数が増えることです。モノやサービスの販売個数が増えていない(実質賃金が増えていない)状態のことを景気の悪い状態と言います。増えないどころか下落しています。

 結果、総理は三重に間違えていることになりますね。

 景気が悪く物価の上昇率が鈍いのにもかかわらず、その鈍い物価の上昇にすら賃金の上昇が追いついていないという極めて深刻な状況なのです。

 答弁した総理にしても、質問した野党にしても、そして経済ネタを得意とするはずの新聞社までもが、そのことを理解できていないところに日本の危機があります。

実質賃金の推移