15年連続でプライマリーを黒字化した川崎市

15年連続でプライマリーを黒字化した川崎市

誰かの黒字は、必ず誰かの赤字によって創出されます。

国民経済においては、すべての経済主体(政府部門・民間部門・海外部門)が黒字になることはあり得ません。

ゆえに、次の恒等式が成立します。

政府部門の収支 + 民間部門の収支 + 海外部門の収支 = 0

海外部門の収支というのは、要するに「経常収支」のことです。

因みに経常収支の黒字が一方的に拡大していくと(=海外部門の赤字が一方的に拡大していくと)、外交・経済上の摩擦が生じることは周知のとおりです。

なので、民間部門の収支を黒字化するには、政府部門の収支が赤字化するしかありません。

これを主流派経済学は「政府の赤字は、民間の黒字によって支えられている」と曲解し、民間の貯蓄が国債発行の原資だと錯覚しています。

むろん、政府の国債発行は民間貯蓄などに制約されません。

いつも言うように、制約するのはインフレ率のみです。

さて、コロナ禍による経済停滞がはじまった2020年度もまた、川崎市はプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化しました。

基礎的財政収支は、歳入総額(市債を除く)が公債費を除く歳出総額を上回っていれば黒字で、その逆であれば赤字となります。

上のグラフのとおり、川崎市は2005年からずっとプライマリーバランスの黒字を続けています。

即ちマクロ経済的にみますと、この15年間、川崎市は民間部門を赤字化してきたことになります。
国民を豊かにする「経世済民」に反していないか。